FC2Blog | RSS1.0 | ログイン | 投稿 

A blog

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--.--.--.-- --:-- | スポンサー広告 | trackback(-) | comment(-)
 どうしてだかわからないのだけどジョン・アーヴィングの小説にはよく熊が出てくる。彼の書いたなかでいちばん有名な『ガープの世界』にももちろん出てくるし、彼のいちばん最初の小説はタイトルが『熊を放つ』である。そしてアーヴィング自身も写真を見るとごつい顔をしていて熊に見えないこともない。彼はT・S・ガープと同様にレスリングの選手だ。
 その熊のアーヴィングはどこかの大学でカート・ヴォネガットに小説を習ったが、ヴォネガットは自分自身を、あるいは芸術家をカナリアに喩えた。その心はここでは説明しないけれど、そのカナリアは鳥かごに入れられている。いまヴォネガットの公式ウェブサイトには口の開いた空っぽの鳥かごが飾られている。
 もう痛くない!


 あの空の鳥かごが公式サイトに飾られたのは彼の死が報じられてからわりとすぐのことだった。なぜそんなことを知っているのかというと私がそのとき偶然 Yahoo.com を見ていたせいで比較的早い時間に訃報を目にしたからなのだけど、「ヴォネガット死す」という見出しとともに肩越しに振り返ってこちらを見るちょっと肥り気味のヴォネガットの写真を見たときには、そんなニュースのために Yahoo.com を見ていたわけではなかったのでびっくりした。


 私は同じ本を何度も繰り返し読むのが好きなのだけど、アーヴィングの小説を二回読んだことはまだ一度もない。彼の小説がとてつもなく長いというせいでももちろんあるのだが、もっと大きな理由として、登場人物たちのわりとしんどい一生を見届けたあと、再読することでそれを再び彼らに繰り返させるのが私には苦痛に感じられるというのがあるからなのだと思う。陰茎を噛みとられたり、親兄弟親友恋人を失ったりする経験をするのは一度だけで充分だ。と書いていて、実際に人生を二度経験させられた『タイムクエイク』の登場人物たちはどうだっただろうかとふと考えたのだけど、何だか本の内容をよく思い出せないのでもう一回読んでみようと思う。
 一回読むと二度繰り返される。


 ヴォネガットの小説でいちばん好きなのは何かというと自分でもよくわからないが、数多く読み返した小説の順番ならすぐに答えることができる。いちばんは『猫のゆりかご』であり、ついで『スローターハウス5』。その次が『チャンピオンたちの朝食』。その次が『ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを』か『母なる夜』。その次が『タイタンの妖女』か『タイムクエイク』か『スラップスティック』。


 村上春樹が『熊を放つ』のあとがきで「自分のなかでアーヴィングはヴォネガットを超えた」といった意味のことを書いていたけれど、私にはまったく同意できなかった。世間で評判の高い『サイダーハウス・ルール』と『ガープの世界』を読んだあとでも、村上春樹ってじつはあほなんじゃないの、としか感じることができなかった。私は彼の意見にまったく賛同できない。
 そしてアーヴィングの小説は素晴らしい。


 アーヴィングの小説はいつも下巻に入ってからとてつもなくおもしろくなる。なんて書くと、おもしろい部分が少ないように聞こえるかもしれないけれども、そうではない。そこに至る過程もあほみたいにおもしろいし、それにアーヴィングの小説はあほみたいに長いので、下巻だけでもたっぷりページは残されている。
 アーヴィングの小説を読んでいるときに私がいつも思うこと ―― この小説が永遠に続けばいいのに!


 一方、ヴォネガットの小説はいつも最初がおもしろい。あのプロローグのおもしろさはほとんど詐欺だと思う。


 アーヴィングの小説とヴォネガットのそれはとてもよく似ている。アーヴィングがヴォネガットの影響を受けたせいで小説が似たのか、それとももともとふたりの資質が似通っていたからこそアーヴィングがヴォネガットを師事するに至ったのか、そのあたりの事情は私は知らない。
 

 で、いまふと思ったこと ―― アーヴィングの小説からヴォネガット的要素を抜いたなら、ひょっとしてとてつもなくむごたらしい物語ができあがるのでは?
 そういった意味で、アーヴィングのなかのヴォネガット的要素はけっこう大切なのだと思う。
 

 ところで、さっき『国のない男』を読み終わってしまったので、『If God Were Alive Today』が出版されないかぎり私はもう新しいヴォネガットを読むことができない。
 ソーイットゴーズ。

 アーヴィングについては、次は『ウォーターメソッドマン』を読もうと思っている。じつはもう買ってあって、だいぶ前から本棚の上に積んであるのだけど、なぜだか読むのをあと回しにしてしまっている。読むのが楽しみな本が本棚にたくさん積んであると私はほっとする。『ウォーターメソッドマン』を読む日が来るのがとても楽しみだ。『オウエンのために祈りを』を読む日が来るのがとても楽しみだ。『未亡人の一年』を読む日が来るのがとても楽しみだ。
 アンドソーオン。

 ハイホー。

 ちんがりーん。

 プーティーウィッ?

 酔っ払いすぎてこれ以上書けないのでこのへんでおしまい。おやすみ。よいお年を。





おまけ

私が大好きなヴォネガットの冗談:
  問 小鳥のウンチのなかの白いものはなんですか?
  答 それも小鳥のウンチです。


私が知っているヴォネガットの大好きな冗談:
  カートはいま天国におります。


 ちんがりーん?
スポンサーサイト
2007.08.01.Wed 00:00 | 未分類 | trackback(0) | comment(8)
<< 2017.10 >>
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
ARCHIVES
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。